選挙と株式市場の関係
米国の選挙は国内外から注目を集める一大イベントであり、特に株式市場においては、選挙結果が短期および中期的な価格変動に影響を及ぼすとされている。本記事では、米国選挙が株式市場に与える影響や投資家が注目すべきポイントについて解説する。
選挙は選挙人制度に基づき、2024年の投票日は11月5日とされている。各州での得票数が多い候補がその州の選挙人票をすべて獲得する「勝者総取り方式」が採用されており、全米で538人の選挙人票のうち270票以上を獲得した候補が当選者となる。正式な確定は12月に各州の選挙人による投票で行われ、翌年1月6日に上下両院の合同会議で大統領が選出される。そして、新大統領の就任式は1月20日に実施される予定である。
歴史的に見ると、米国の株式市場は選挙年に特定のパターンを示す傾向がある。選挙が近づくにつれ、市場は政策変更のリスクや不確実性に敏感に反応する。例えば、共和党が勝利した場合、企業減税や規制緩和の期待からエネルギー業界や金融業界が強気になることが多い。一方、民主党が勝利した場合、クリーンエネルギーやヘルスケア分野の成長が期待されるものの、金融業界には厳格な規制が加わる可能性があるとされている。
また、過去のデータによると、大統領選挙後には、選挙結果にかかわらず年末にかけて株価が上昇する傾向がある。この傾向は、リーマン・ショックを除いた過去7回の大統領選挙後におけるS&P500指数の平均上昇率が約4%であることからも示唆されている。この現象は、選挙期間中に蓄積した政治的な不透明感が解消され、市場が一時的に安定を取り戻すためと考えられている。
ハリス氏とトランプ氏の
政策比較
ハリス氏の主要な経済政策は住宅および医療分野に好影響をもたらすとされるが、株式市場全体にはマイナスの影響が予想されている。ハリス氏は中間層の負担を軽減する方針を掲げており、年収40万ドル未満の人々に対しては増税を行わないと明言している。財政強化のために法人税および富裕層への増税を計画しており、気候変動を「最重要課題」として電動車の普及や再生可能エネルギーの推進に注力する方針である。
一方、トランプ氏の経済政策は銀行やメディアに好影響を及ぼし、株式市場全体にとってもプラスの影響が期待されている。さらなる減税を通じて経済成長を促進し、財政赤字の削減を目指す考えを示している。また、エネルギー政策においては再び「パリ協定」からの脱退を検討しており、気候変動対策における国際協調からの撤退を意図している。
張 益偉 Choko Zhang
上智大学卒業し、金融工学専攻。特許金融分析師(CFA)と金融リスクマネージャー(FRM)の資格を保有しています。卒業後、方正証券の半導体セクターアナリストとして2年間の経験を積み、現在はFingroupでストラテジストアナリストとして勤務しています。
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