日本の暗号資産に関する法制度ガイド その79

一般法人日本暗号資産取引業協会(以下「認定協会」という)は、金融商品取引法関連自主規制規則として、業務取扱関係、顧客財産管理・システム安全管理等、勧誘・広告、AML/CFT・反社会的勢力対応、事故確認申請、苦情・紛争解決、金融商品仲介業者、従業員服務、外務員登録、金融商品仲介業者などを規定しております。

今回は認定協会の業務取扱関係の「暗号資産関連デリバティブ取引業に係る受注管理体制の整備に関する規則・ガイドライン」(以下「受注管理規則」という)を紹介します。

  • 社内規則の制定

「受注管理規則」第2条によると、第一種会員(デリバティブ)は、取引の受注管理に関して、以下の事項について規定した社内規則を定めなければなりません。

(1) 顧客による不適切な注文の排除に関する事項

(2) 役職員による不適切な注文受付及び約定処理の排除に関する事項

(3) 取引の決済代金又は決済に用いる暗号資産等の受領に関する事項

(4) 注文受付時における注文内容の確認に関する事項

(5) 注文の受発注制限に関する事項

(6) 注文の受発注制限の解除に関する事項

(7) 表示価格及び約定価格の生成等に関する事項

(8) 約定処理に関する事項

(9) 受注管理に関する業務(以下「受注管理業務」という。 )に係る適切な人員配置及び研修等に関する事項

(10) 受注管理体制の監査に関する事項

(11) その他会員が必要と認める事項

 

  • 約定処理

「受注管理規則」第12条によると、第一種会員(デリバティブ) は、顧客からの注文を約定処理する際の基準を定めなければなりません。この基準は、次の各号に掲げる事項を含むものとします。

(1) 顧客からの注文受付の認識時点に係る事項

(2) 顧客の注文を約定処理する順序に係る事項

(3) 表示価格及び約定価格に係る事項

(4) 顧客の注文の全部又は一部の失効又は約定処理の留保に係る事項

(5) ロスカット取引の執行に関する事項

(6) 約定処理の一時中断後の再開時における約定処理に係る事項

(7) その他会員が必要と認める事項

また、第一種会員(デリバティブ) は、顧客注文を約定処理する場合には、次の各号に掲げる行為を行ってはなりません。

(1) 顧客からの注文に係る約定処理により発生するスリッページが、当該顧客にとって不利な場合には、当該スリッページが発生する価格を用いて約定処理する一方、当該顧客にとって有利な場合には、当該スリッページが発生する価格に替えて当該スリッページが発生しない価格を用いて約定処理すること。

(2) 顧客からの注文に係る約定処理により発生するスリッページが、会員があらかじめ定めた範囲内のときは、当該スリッページが発生する価格を用いて約定処理する場合、当該範囲を当該顧客にとって有利な方向よりも不利な方向に広く定めること。

(3) 顧客からの注文について、スリッページが発生する価格を用いて約定処理する数量を会員があらかじめ設定する場合、当該数量を当該顧客にとって有利な場合よりも不利な場合に大きく設定すること。

次回へ続く