2025年は103万人不足か
新エネ車メーカーの求人ピーク到来

中国の電気自動車(EV)大手の比亜迪(BYD)の河南省鄭州市にある鄭州拠点でこのほど、2024年の第2回大規模求人がスタートした。募集要項によると、今回は4000人の募集で、給与は月収ベースで5000-9000元(約10万2000円円-18万3600円)。そのうち生産現場のオペレーターが最も人手不足で、仕事の内容には補助的な設備を使った簡単な製品組み立てが含まれる。給与については、一般の現場オペレーターは約7000元(約14万2800円)、フォークリフトや仕上げ工など一定の技術的要求のあるポジションは最高で1万元(約20万4000円)を超える。

新エネ車産業の成長で

人材需要が急増

首都経済貿易大学労働経済学院の張成剛准教授は、「BYDのこのたびの求人は規模が大きく、一般作業員の給与は鄭州ではトップクラスで、これほどの給与水準ならたくさんの労働者が集まるだろう」と述べた。

求人サイトの智聯招聘のプラットフォームのデータを見ると、今年1-7月には、同プラットフォームの一般作業員・技術者の平均給与が6887元(約14万495円)だった。全体として言えるのは、新エネルギー自動車産業の一般作業員の賃金・待遇はもう少し高いだろうということだ。

急速に発展する新エネ車産業が大量の雇用を生み出している。工業・情報化部の発表した「製造業人材発展計画ガイド」によると、省エネと新エネ車の分野で2015年の人材規模は17万人だったが、25年は120万人に拡大して103万人が不足するという。

新エネ車産業の発展が好調

工場と雇用は増える一方

新エネ車メーカーの自動化レベルがますます高くなり、従来の生産規模と同じ工場であれば必要とされる作業員の数は減ったが、この産業の急速な拡大にともない、新エネ車の工場の全体的な数と全体的な規模が大幅に拡大している。新たな工場が1カ所建設されるごとに新たな雇用が生み出されており、これには科学技術者も一般のオペレーターも含まれる。

比亜迪の鄭州基地プロジェクトは3期に分かれ、第1期の生産計画は40万台、第1期と第2期はすでに生産がスタートし、第3期は現在、建設が進められている。

鄭州拠点には3万6000人の作業員がおり、生産ラインがフル稼働すると5万人の作業員が必要になり、現場のオペレーターと技術者の比率は約1:1になる。このことは各職種で作業員が増加していることを意味する。他の自動車メーカーも似たような状況だ。

8月21日、広汽埃安(AION)の湖南省長沙市にある長沙スマートエコ工場が完成して生産をスタートし、年間生産台数は20万台に達する見込みだ。

 

注文が急増し

生産ラインが人手不足に

中国の新エネ車産業は12年から23年までの販売台数の複合年間成長率が82.1%になり、生産台数・販売台数ともに9年連続で世界一だった。今年上半期の生産台数は前年同期比30.1%増の492万9000台、販売台数は同32%増の494万4000台だった。生産規模が拡大して、生産ニーズを満たすためより多くの労働者が必要になり、これには相当数に上る一般作業員も含まれる。

前出の張氏の説明によると、消費サイクルの影響により、毎年7-9月は中国の製造業企業の求人ピークの時期で、注文を受けた自動車の生産を予定通りに終わらせるため、メーカーの間で作業員の獲得競争が激しさを増し、そのためこの段階で新たな雇用が生まれるのだという。

張氏は、「自動化レベルが高い工場では、現場の作業員の労働強度、労働環境がこれまでと大きく変わっている。現在、新エネ車メーカーの一般作業員の主な仕事は組み立ての補助、設備の点検とメンテナンスなどで、パッケージや安全検査などでも一定数の一般作業員が必要だ。こうした作業員は、体力的な要求はそれほど高くないが、教育レベルと技術レベルに対する要求はより高く、企業は採用後に専門的な研修を行うことになる」と続けた。

新エネ車メーカーの大量の求人は、中国新エネ車産業の発展と好調さを一つの側面から物語っている。

新エネ車は今や中国の輸出の新三種の神器(電気自動車、リチウム電池、太陽電池)の一つで、十分な注文があり、労働力ニーズが大きい。同時に、消費者向け電子製品に比べ、自動車製造分野の労働者は第一線の作業員も含め、一定の技術レベルが必要とされるため、求人の難度が相対的に高くなる。これは中国新エネ車産業の発展と好調さの表れでもある。