新たな協力機会を求めて
中国・濰坊市-日本経済貿易協力交流会を盛大に開催

甲辰年、錦秋の9月13日、「中国・濰坊-日本経済貿易協力交流会」が東京の品川プリンスホテルで盛大に開催された。当交流会は「世界の『凧の都』濰坊、新たな協力機会を求めて」をテーマに掲げ、山東省濰坊市と日本が貿易、投資、技術革新等の分野で交流・協力を強化することを目的として開催された。中国駐日本大使館、日本の関連団体、経済界、文化界の代表100余名が一堂に会し、親交を深め、協力機会を模索した。

 

濰坊市貿易促進会の胡文星会長が進行役を務めた。

はじめに、中国駐日本大使館の羅暁梅公使が挨拶し、次のように述べた。「中日両国は世界有数の経済大国であり、互いに重要な経済・貿易のパートナーであります。中国経済は回復基調にあり、多くの日本企業が中国に根を下ろし、中国と共に発展していく強い意欲を示しています。現下、両国間の交流はあらゆるレベル・分野で活発化し、好ましい兆しが見られます。劉運書記率いる濰坊代表団もその一翼を担っています。山東省は中国屈指の経済大省であり、日本とは多方面において、大いに協力の余地があります。この度の交流会を通して相互理解を深め、協力の可能性を探り、中日の経済・貿易関係の安定的かつ持続的な発展が促進されることを願っています」。

濰坊市党委書記の劉運氏は、濰坊市と日本の経済貿易交流の歴史を振り返りつつ、濰坊市の5つの強み――強固な産業基盤、豊かな農業生産力、充実した科学教育資源、優れた開放性、長い歴史と豊かな文化を強調した。「濰坊市と日本は海を隔てて地理的にも近く、経済・貿易交流には長い歴史があります。この度の交流会によって、相互信頼と友好交流が増進し、経済・貿易交流が拡大し、実務協力が推進され、ウィンウィンの発展が実現することを願っています」。

日本貿易振興機構の高島大浩理事は、次のように挨拶した。「濰坊市と日本貿易振興機構は良好な信頼関係を築いています。山東省のリーダーは毎年、独自の交流プラットフォームである『対話山東』を通して、日本のさまざまな産業分野の代表と直接対話を行っています。これは他の省では見られない取り組みであり、日本との協力を重視する山東省のオープンな姿勢を表しています。濰坊市は日本企業との協力に積極的な姿勢を示しており、日本貿易振興機構が、その架け橋となれるよう努めてまいります」。

中国国際貿易促進委員会駐日本代表処の史銘首席代表が挨拶し、次のように語った。「濰坊市は每年、中日韓産業博覧会など一連の活動を通して、中日の地域経済の連携強化に努め、両国の経済協力に貢献してこられました。コロナ禍、地政学リスク、保護貿易主義等の複数の要因が世界経済に影響を及ぼし、海外投資が減少する中、2023年の中国における外資系企業の新規設立数は前年比39.7%増で、そのうち日本企業は同7.3%増でした。また、近年の日本企業の中国における投資回収率は好調で、2022年には18%に達し、このことは、中日経済貿易協力の強固な基盤と洋々たる前途を物語っています。中国国際貿易促進委員会は現在、万国博覧会の主管部門として、中国パビリオンの建設に携わっています。両国の交流・協力を促進するため、中国の省・区・市による出展を企画してまいります」。

日中経済協会理事、調査部部長の高見澤学氏は次のように挨拶した。「濰坊市では、その恵まれた地理的環境と強固な産業基盤により、農業、食品、紡績、化学、エレクトロニクス、新素材、物流等の分野で100以上の日本企業が事業を展開しています。われわれは、今後も濰坊市と日本企業がそれぞれの強みを活かし、協力を強化し、共に発展していくことを期待しております」。

日中科学技術文化センターの巨東英理事長が、日中科学技術文化センター及び日本濰坊総商会を代表して次のように挨拶した。「濰坊市と日本の多方面にわたる協力を支援してこられた中国駐日本大使館に感謝申し上げますとともに、双方の企業の交流の架け橋となり、協力機会を提供してくださった日本貿易振興機構の皆さまに感謝申し上げます。日本濰坊総商会はさらなる力を発揮し、故郷の経済発展を支援し、故郷の発展に貢献し、皆さまと手を携え、より輝かしい未来を創造してまいります」。

三菱UFJ銀行トランザクションバンキング(外国為替、国際業務推進)部の小原正達部長が、当銀行の中国における取り組みと山東省及び濰坊市の強みについて述べた。「現在、中国には約3万1000社の日系企業が進出しており、世界全体の日系企業の約40%を占め、グローバルなサプライチェーンにおいて重要な役割を果たしています。コロナ禍やサプライチェーンの再編、エネルギー価格高騰などの困難を経て、世界経済が回復するに伴い、中国は世界の工場から世界の市場へと変貌を遂げ、急速に技術革新のリーダー国へと成長しています。また、外資の誘致にも積極的に取り組んでいます。中国が改革を深化させ、外資にとってのビジネス環境の整備が進む中で、われわれは中国との協力をより一層深め、地域経済の発展に貢献していきたいと考えています」。

ウィンウィンによって明るい未来は拓かれる。交流会ではいくつもの重要な協力協定が締結された。山東販福多輸入商品有限公司と阪栄通運株式会社は売買契約を締結し、高密市優億生活科技有限公司と筑波国際交易有限会社は販売契約を結び、山東陽春啤酒有限責任公司と博新商事株式会社は提携を結び、濰坊市貿易促進委員会は羊馬(山東)技術研発有限責任公司、日本農業国際交流協会、日中商報、日中人材・ビジネス交流協会、京師法律事務所東京協力事務所と戦略的パートナーシップを締結し、濰坊市と日本は、農業技術、ビジネス、人材交流の分野で次なるステージへ踏み出した。

中日の各界の代表が相次ぎ登壇しスピーチした。順天堂大学教授で中国留日同学総会の理事長を務める汪先恩氏は、孔子や孟子の故郷である山東・濰坊と深い縁をもつ。「順天堂」の名は孟子の「順天者存(天の理法に従う者は存続して栄える)」に由来する。濰坊市中医院の特任教授を務め、医療と養老介護の連携における濰坊市の独自の強みを熟知する汪教授は次のように指摘した。「濰坊市と日本は、この分野で深い協力が可能であり、経験の共有、技術の導入、人材の育成を通じて、共に一大健康産業の発展を促進し、世界的な高齢化の課題に対処するための知恵と力を提供することができるでしょう」。

三菱商事(青島)有限公司の本多亮董事長兼総経理は青島に常駐し、山東省の業務を担当する。総経理を4年余り努める中、多方面にわたる緊密な交流・協力によって濰坊市との良好な関係を築き、特に、24時間営業のコンビニエンスストアプロジェクトで大きな成果を挙げた。交流会に駆けつけた本多氏は、流暢な中国語で挨拶した。「濰坊市は今後も、農業や製造業などの強みを活かし、都市の魅力を高めていくことでしょう。われわれはこれからも食品、新エネルギー、トータルヘルスケア等の分野における全面的協力を通して、共に発展していきたいと思います」。

濰柴グループは濰坊を拠点とするグローバル企業で、日本、フランス、ドイツ、アメリカに研究開発センターを有する。交流会には、日本の研究開発機関である濰柴鴻基科技株式会社の李文広社長が駆けつけた。

山東青州雲門酒業(集団)有限公司の汲英民董事長は、1980年代初頭に酒業界に参入し、28年間同社の舵を取ってきた。2009年、雲門酒業集団、茅台集団、郎酒集団が共同で『醤香型白酒』国家規格を策定し、北部における酒業界のリーダーとしての地位を確立した。「一杯の雲門醤酒は、斉鲁(山東省)の酒の歴史である」と謳われる。汲董事長は「国標1号」と「玉白陳」というお酒を持参し、参加者に振舞った。

日中経済産業交流促進協会会長、日本山東総商会執行会長、正伍集団董事長の王威氏、Goertek Technology Japan株式会社の張涛総経理、ヤンマーホールディングス株式会社技術本部技監・副本部長、羊馬(山東)技術研発有限責任公司董事長の大久保稔氏、三菱プレシジョン株式会社海外市場担当課長の劉学振氏、北京信伊産業投資コンサルティングサービス有限公司の高顥源総経理、住友商事株式会社グローバル戦略推進部の趙涛参事、日本技術士会代表幹事で日中技術交流センター人材交流委員長の熊澤寿人氏、北京京師法律事務所東京協力事務所のパートナー・執行主任の猶婧氏ら企業・団体の代表が中日の経済・貿易協力における経験と展望を共有し、留学生を代表して、立教大学経済学部の崔皓昱氏がスピーチを行った。

濰坊と日本は海を隔てて隣り合い、地理的にも近く、ビジネス交流も盛んで、日本は濰坊の最大の貿易パートナーのひとつである。双方にはまだまだ協力の余地があり、生産品の流通拡大など、ウィンウィンの取り組みが期待できる。交流会の最後に濰坊市は、10月17日から19日の会期で開催される2024中日韓産業博覧会を実りあるものとし、共に新たなウィンウィンの道を切り拓いていきたいと呼び掛けた。

(撮影:呂鵬)