翁道逵 ベリーベスト法律事務所(中国弁護士)
日本の仮想通貨に関する法制度ガイド その77

一般社団法人日本暗号資産取引業協会(以下「認定協会」という)は、 金融商品取引法関連自主規制規則として、業務取扱関係、顧客財産管理・システム安全管理等、勧誘・広告、AML/CFT・反社会的勢力対応、事故確認申請、苦情・紛争解決、金融商品仲介業者、従業員服務、外務員登録、処分関係規則などを規定しております。

今回は認定協会の業務取扱関係の「暗号資産関連デリバティブ取引に関する規則・ガイドライン」(以下「デリバティブ取引規則」という)を紹介します。

  • 業務開始の届出

「デリバティブ取引規則」第2条によると会員は、暗号資産関連デリバティブ取引を行う場合には、以下の書面を、あらかじめ認定協会に提出しなければなりません。

(1) 暗号資産関連デリバティブ取引を開始する旨及び開始予定日、取引の対象となる暗号資産(以下「対象暗号資産」という。)又は暗号資産関連金融指標(以下「対象暗号資産指標」という。)、必要預託額その他顧客との取引方法及び取引条件を記した書面

(2) 暗号資産関連デリバティブ取引の業務方法を記した書面

(3) 暗号資産関連デリバティブ取引により生ずる会員の財務上のリスクの分析結果を記した書面

(4) 暗号資産関連デリバティブ取引により生ずる会員の財務上のリスクの管理方法を記した書面

(5) 対象暗号資産の市場規模及び流動性を分析し、顧客に対する安定的なサービスの提供のための体制を検討した資料

(6) 対象暗号資産の過去の価格変動及び取引量の推移に関する資料

(7) 参照又は準拠する暗号資産の現物取引価格のデータソースに関する資料

(8) 必要預託額、ロスカット取引を実施する基準の決定に関する資料

(9) 暗号資産関連デリバティブ取引に伴い顧客に交付する書面

(10) 暗号資産関連デリバティブ取引に関する広告の写し

(11) 顧客による不公正取引を防止するための体制整備に関する資料

(12) その他協会が提出を求める書面又は資料

 

  • 認定協会による事前確認

「デリバティブ取引規則」第3条によると、会員は、暗号資産関連デリバティブ取引に係る業務を開始する前に認定協会が会員に対して業務体制に関する監査を行う場合には、正当な理由なく、これを拒んではなりません。

また、会員は、この監査の結果、認定協会から暗号資産関連デリバティブ取引に関する業務体制に対して顧客保護に欠けるものとして指摘を受けた場合には、これに対処することなく、顧客に対して暗号資産関連デリバティブ取引及びその取次ぎ、媒介、代理を行ってはなりません。

次回へ続く