翁道逵 ベリーベスト法律事務所(中国弁護士)
日本の仮想通貨に関する法制度ガイド その76

一般社団法人日本暗号資産取引業協会(以下「認定協会」という)は、金融商品取引法関連自主規制規則として、業務取扱関係、顧客財産管理・システム安全管理等、勧誘・広告、AML/CFT・反社会的勢力対応、事故確認申請、苦情・紛争解決、金融商品仲介業者、従業員服務、外務員登録、処分関係規則などを規定しております。

今回は認定協会の業務取扱関係の「デリバティブ関連取扱暗号資産に関する規則・ガイドライン」(以下「デリバティブ取扱い規則」という)を紹介します。

  • 新規取扱い

「デリバティブ取扱い規則」第4条によると、会員は、デリバティブ関連取扱暗号資産として取り扱おうとする暗号資産の特性に鑑み、次の各号のいずれかに該当すると認められる場合には、その適否を慎重に判断しなければなりません。

(1) 法令又は公序良俗に違反する方法で利用されている又は利用されるおそれが高い暗号資産

(2) 犯罪に利用されている又は利用されるおそれが高い暗号資産

(3) マネー・ローンダリング及びテロ資金供与に利用されている又は利用されるおそれが高い暗号資産

また、会員は、デリバティブ関連取扱暗号資産として取り扱おうとする暗号資産の特性及び会員自身の体制に鑑み、次の各号のいずれかに該当すると認められる場合には、当該暗号資産をデリバティブ関連取扱暗号資産として取扱ってはなりません。

(1) 移転・保有記録の更新・保持に重大な支障・懸念が認められる暗号資産

(2) 前各号のほか、当該会員において金融商品取引法上の義務を適正かつ確実に履行できない又は困難な暗号資産

さらに会員は、移転記録の追跡ができない又は著しく困難である暗号資産については、第1項第3号又は前項第2号に該当するおそれがあることから、これらの問題が解決されない限り、当該暗号資産を取り扱ってはなりません。

 

  • 認定協会への届出

「デリバティブ取扱い規則」第5条によると、会員は、新たな暗号資産のデリバティブ関連取扱暗号資産としての取扱いを開始する場合には、認定協会に対して、次の各号に掲げる書類を事前に届け出なければなりません。

(1) 協会が別に作成する審査報告書

(2) 協会が別に作成する当該暗号資産及び暗号資産関連金融指標の概要説明書(以下「概要説明書」という。)

(3) 当該暗号資産に関して顧客に開示・提供する資料等

(4) 当該暗号資産に係るホワイトペーパーその他当該暗号資産の内容を説明した資料

(5) 当該暗号資産の流通状況に関する資料(流通実績がある場合に限る。)

(6) 当該暗号資産に関連する事件・事故に関する資料

(7) 当該暗号資産を取り扱う暗号資産デリバティブ取引の概要書

(8) 概要説明書を作成・管理する者の氏名、役職、所属部署、経歴、連絡方法を記した書面

(9) 当該暗号資産の管理者等の関係者の反社会的勢力との関係性その他マネー・ローンダリング及びテロ資金供与の関連性について社内検証を行った資料

(10) その他協会が提出を求める書面又は資料

    (次回へ続く)