「チャイナフェスティバル」は、日本人が中国文化を知り、体験するためのプラットフォームとして成長し、年に一度の壮大な物語と魅力的な内容を提供した。「2023チャイナフェスティバル」の来場者数は15万人を超え、官民がともに楽しみ、熱狂した場面は今も鮮明に記憶されている。
在日中国大使館が開催した「2024チャイナフェスティバル」メディア発表会の前夜、「チャイナフェスティバル」実行委員会事務総長の青柳陽一郎衆議院議員にインタビューする機会を得た。青柳氏は、実行委員会が常に主催者、出展者、来場者の三方のウインウインを目指していると強調した。
―― 「議員立法」「議員外交」という分野で卓越した実力を発揮され、ご活躍されていますが、政界に進もうと思われたきっかけは何ですか。良好な国際関係を築くために、政治家はどのような役割を果たすべきだとお考えですか。
青柳 直接的なきっかけは、小泉内閣時代に松田岩夫大臣の政策秘書を務めたことで、大臣とともにさまざまな政策立案のプロセスに深く関わり、多くの貴重な経験を積むことができました。私は松田大臣を心から尊敬していました。松田大臣は日中青少年交流の推進に多大な貢献をされていましたので、私も松田大臣の訪中に何度も同行し、文化交流事業の実施に参加してきました。
私の家族もまた、私の政治的キャリアに影響を与えたと思います。私の妻の曽祖父である高碕達之助は、「日中総合貿易に関する覚書」(日中LT貿易)を締結させ、日中国交正常化以前に日中間の相互連絡事務所の設立や貿易活動を積極的に推進した人物です。彼の死後、周総理は自ら弔電を送ってくれました。現在、兵庫県には高碕達之助記念館があり、私は来日した中国政府関係者を案内したこともあります。
また、私の父は政治が大好きで、家でもよく政治の話をしていました。そんな家庭環境もありましたし、政治の世界での実務経験もあり、松田大臣の引退後の政界出馬は自然の成り行きでした。
2012年、地元の横浜の皆様のご支援をいただき、第46回衆議院議員選挙に初当選し、4回の選挙を経て12年間国会議員を務めています。国会議員として、松田大臣から教えていただいた「議員外交」の重要性を痛感しています。
2017年、私は当時の程永華駐日中国大使と協力し、文化・青少年交流を促進する新たなブランドのイベント「チャイナフェスティバル」に尽力しました。これまでコロナの流行や日中関係の浮き沈みに遭遇しましたが、日本と中国がアジアと世界の経済のリーダーとして隣同士で生活している事実は変わらないし、両国が緊張した関係を維持することはアジアと世界のためにならない。だからこそ、対話と交流を通じて良好な二国間関係を築くことがより重要なのです。そもそも、私がこのイベントの開催にこだわってきた理由もここにあります。
関係が緊迫すればするほど、対話のチャンネルは重要になります。中国の国民感情からすれば、日本は傲慢すぎると感じるかもしれないし、日本の国民感情からすれば、中国に妥協する必要はないと感じるかもしれない。しかし、そのような感情は問題の解決にはつながりません。政治家として国民の感情を理解し、毅然とした態度で職務を全うする必要がありますから、たとえインターネット上で多くの批判や感情の爆発に直面することがあっても、私は日中間の対話と交流を促進することが必要だと主張しています。対話のチャンネルがなければ、何か不測の事態が起きたときに武力に訴えるしかなくなります。これは誰にとっても、どの国にとっても良いことではありません。
―― 日本の競争力、影響力、イノベーション力を高めていく過程において、異なる文化や歴史的背景を持つ人々と共存していくことは、日本にとって重要な課題です。「チャイナフェスティバル」のほか、青柳議員が日本側を代表して関わっている「ベトナムフェスティバル」も、日本とベトナムの重要な交流の場です。「あらゆる世代の幸せをつくる」という政治信条に基づく共生社会の構築のブロセスにおいて、担う役割と責任とは何でしょうか。
青柳 統計によると、日本で働く外国人の総数は200万人を超え、その中で最も多いのがベトナム人で51万人、次いで中国人が39万人以上となっています。この2つのグループは、日本経済を支える欠かせない基盤となっており、したがって、日本が外国人や外資系企業に選ばれる国になるよう、彼らにとって働きやすい環境を整える必要があります。法律をつくる側の国会議員として、これは私の責任の一つです。
今年の通常国会では、外国人労働者に関する新法が成立し、技能実習生制度が育成就労制度に変更され、3年後に試行されることになりました。しかし、私はまだまだ改善点が多いと思います。共生社会を実現するためには、日本社会、日本企業、外国人の人材、そして外国人労働者の母国にとっても有益な制度を整備し、生産性や競争力を向上させていくと同時に、多くの関係者すべてに利益があるようにしなければなりません。
かつての日本は、外国人研修生を安価な労働力とみなし、日本人がしたがらない仕事を補ってもらおうとしていましたが、近年はその認識と制度がかなり改善されています。外国人も日本人も社会・経済の重要な柱であり、平等に投資・教育し、より良い労働環境を提供することが重要です。
テクノロジーの進歩により、言葉の壁も徐々になくなっていくと思います。近い将来、スマートフォンやその他のテクノロジーを通じて、私たちは垣根なくコミュニケーションをとることができるようになり、さまざまな障壁が徐々になくなっていくでしょう。共生とウインウインの社会を楽しみにしたいですね。
―― 「チャイナフェスティバル」は発足以来、中国と日本、そして社会の各界から多大な支持を受け、絶大な影響力を発揮してきました。実行委員会の事務総長として、常に最前線に立ち続けてこられ、きっと忘れられない思い出がたくさんあるのではないかと思います。
青柳 チャイナフェスティバルは程永華大使の時代に創設されました。在日中国大使館から支援を求められたとき、私は一つだけ、「やると決めたら途中でやめないこと」という条件をつけたのを覚えています。
程大使は最も長く駐日大使を務めた方です。帰国前夜のお別れのスピーチでは、10年近くにわたる在任中の日中関係のさまざまな困難と友好発展のための努力を振り返り、特に「チャイナフェスティバル」の創設が、日中両国民の友好の新たなブランドとなったことに誇りを感じたと言及されていました。会場で彼のスピーチを聞きながら、私は深い感動を覚えたと同時に、彼にとっての「チャイナフェスティバル」の意義の大きさを知り、たとえ世論の圧力に直面しても、ずっと続けていく決意を固めたのです。
現在の呉江浩大使はかつて程永華大使と一緒に仕事をされていましたから、呉大使が「チャイナフェスティバル」を発展・継続させることに特別な使命感を持ち、多大なエネルギーと思いを注いで取り組んでくれていることにも、感慨を覚えています。
毎年10万人以上の来場者を集め、数万人がネット中継を視聴するこのイベントは、日中両国政府と市民の共同の努力の賜物です。日本側からは、福田康夫元総理や公明党の山口那津男代表が毎年参加し、スピーチをしています。
今年の「チャイナフェスティバル」は9月7日、8日に代々木公園で開催され、ステージやブースが設けられます。ブースでは、飲食店、青少年交流、都市交流、技術展示などが行われ、中国四大料理の食べ比べなどもやる予定です。ステージには、日本や中国のアーティスト、伝統芸術団体が出演しますが、メインアーティストは後日発表されますので、どうぞお楽しみに。
また、ご存知のように日本と中国には有名な「ピンポン外交」がありましたし、国際大会では強力なライバルであると同時に、互いに師であり友でもあります。「チャイナフェスティバル」では、横浜名物のスリッパ卓球大会も毎年開催され、駐日大使や福田元総理も参加し、大いに盛り上がります。
中国といえばパンダですが、パンダのキャラクター「フッキくん」も作りました。子供たちに大人気です。
―― 5月27日、日中韓首脳会談が開催され、協力メカニズムが再活性化され、5月29日には中国共産党中央委員会対外連絡部部長一行が日本の総理大臣官邸を表敬訪問し、さらに7月1日、日中友好七団体の一つである日本国際貿易促進協会(国貿促)が、経済・貿易分野における踏み込んだマッチングを促進するため、47回目の訪中を行いました。今年、中国を訪問する予定はおありですか。新たな日中関係の構築についてどのようにお考えでしょうか。
青柳 2019年は日中青年交流促進年ということで、同年9月に黒竜江省佳木斯(ジャムス)市を訪問し、温かい歓迎を受け、日本の国会議員として初めて同市を訪問したことが現地のニュースで報道されました。今年は北京、上海などにも行く機会があればと思っています。
2000年以前は、経済発展において日本は中国をリードしていましたが、2010年以降はGDPや経済規模において中国が日本を上回りました。新しい日中関係を築くためには、両国は本質的な問題に焦点を当て、関係の質を向上させるべきだと思います。
特にITとAI技術が急速に発展している現在、これらの技術は人々の生活を便利にするために利用できるものの、同時に予期せぬリスクをもたらす可能性もあります。中国と日本は、互いに非難し合うことを減らし、本質的な問題に焦点を当て、誠実な交流と実践的な行動を通じ、起こりうるリスクや不測の事態に対処し、経済の質と安全・安心を高めるべきだと私は考えます。
「議員外交」の最前線で活躍する青柳議員は、その精力的なイメージから若手議員と思われがちだが、実は日本政界のベテランである。彼の優れた見識が両国関係の前進と新たな展望を切り開くものと信じている。
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