「村カフェ」が大バズリする背景とは

浙江省湖州市安吉県には300軒以上のカフェがあり、その密度は一部の大都市を上回る。こうした「村カフェ」は、鮮やかな緑色の茶畑や山肌に広がる棚田といった風景の中にある。端午節(端午の節句、今年は6月10日)の連休期間中、同県は長江デルタ地域で観光客に人気のスポットになった。

村カフェ「大バズリ」の背景にあるものは何か

北京市懐柔区では、村カフェが民泊施設にとって「標準装備」になっている。雁棲湖のほとりを散歩し、慕田峪長城に登り、農家の料理を味わう以外にも、農村観光に「村カフェでコーヒーを飲む」という新たな体験が加わった。

海南省定安県では、古い農家の給水塔の下で、1杯のコーヒーを手に、さらさら流れる水の音を聞き、風にそよぐ木の様子を眺めるのが人気だ。この「水塔コーヒー」人気のおかげで、キャンプや学習見学、果物狩りなどの業態が掘り起こされ、観光客が次々にやって来るようになった。

ここ数年で、「コーヒー+」が農村観光の新たな業態になった。ECプラットフォーム「美団」の発表した「2024年県城(県の行政中心地)コーヒー新業態報告」によると、2024年1月末現在、中国の県城におけるコーヒー発注量が22年同期比では322.26%増加し、前年同期比では136.37%増加したという。

需要サイドを見ると、農村でコーヒーを飲むときに味わうのは、都市の喧騒とは異なる田園の穏やかな風景だ。人々は人気観光スポットに押し寄せるのではなく、ニッチな目的地を目指すようになり、駆け抜けるようにあちこち見て回るツアーから1カ所をじっくり堪能する没入型体験へとトレンドが変わってきている。

 

農村ツアー商品の供給がさらに多様化

村カフェがしばしば話題になっていることからは、そうした文化観光市場のニーズに生じた新たな変化がうかがえる。新たなニーズは新たなチャンスを生み出し、県域ツアーや農村ツアーが観光市場で新たな魅力を放っている。

供給サイドを見ると、村カフェ人気の背景には、ますます密接になる農村と観光の融合、文化と観光の融合がある。農村ツアー商品の供給がさらに多様化し、消費シーンはさらに豊富になり、人々の多様化し高品質化した観光ニーズが絶えず満たされて、農村の全面的な振興の推進に新たな原動力となった。

現代の都市生活のアイコンの1つとして、カフェは都市と農村の融合発展の新たなシーンになった。観光客が農村に来て人気スポットをめぐり、企業家は農村に根を下ろし、資金や人材、管理などの要素が都市から農村へ流れ込む。

都市と農村の双方向の関わりがますます密接になり、県域ツアーや農村ツアーの勢いある発展を後押しし、新型都市化と農村の全面的振興の推進を下支えするようになっている。