中国の若者の間では近年、「糖質ゼロ」の飲食物が人気になっている。そして、「糖質ゼロ」の波は、食卓から人間関係まで波及し、「糖質ゼロの付き合い」という概念が最近、人気を集めつつある。
「糖質ゼロの付き合い」というのは、今の若者が他の人と一定の距離を保って付き合い、他の人が提供してくれる情緒的価値に過度に依存せずに人付き合いをすることを意味している。こうした人付き合いのスタイルは、ベタベタしたりせず、互いに依存もしないため、さっぱりとしていてまるで「糖質ゼロ」の食品のようだというわけだ。
「95後(1995-99年生まれ)」の黄梓熙さんには、「糖質ゼロの付き合い」をする友達がいて、彼女はそのデザイナーの友達たちと互いに束縛しない気軽な付き合いをしている。「しょっちゅう会ったり、ご馳走したり、されたりといったことはしない。オンラインのグループチャットや、定期的にオフラインで交流する機会を設けて、デザインした作品やそこから得たもの、悩みなどについて互いにシェアするだけ」と黄さん。
そして、「現代社会では、人付き合いにおけるニーズがますます複雑になっていて、そんな人付き合いへの対応で疲れ切ってしまうこともある。『糖質ゼロの付き合い』ならばシンプルな人間関係となり、付き合いにおけるコストも削減できる。自分のニーズや趣味に合わせて付き合いの対象を選ぶことができ、従来の人間関係のように『絆』や『メンツ』などに縛られる必要がない」と話す。
「糖質ゼロの付き合い」は人と人の付き合いだけでなく、「ヒューマン・コンピュータ・インタラクション」にまでも波及しており、バーチャル世界において、その概念や表現形式がさらに拡大している。
オンラインコンテンツを見ると、ネットユーザーは、孤独を感じると、バーチャルヒューマンやバーチャルアイドルといったデジタル化されたキャラクターを自分の話し相手や遊び相手とするようになっている。例えば、あるネットユーザーは、「バーチャルヒューマンやバーチャルアイドルが人気となっているのは、上から目線になることがなく、親しみやすいからで、心の支えとなってくれる」と書き込んでいる。
山東大学で社会学を教える王忠武教授は、「『糖質ゼロの付き合い』というのは、人間関係ゼロという意味ではなく、若者が人付き合いにおいて、独自性や自立を重視するよう促している。『糖質ゼロの付き合い』は、社会の発展の動向に順応しているほか、現代の人間関係の実際のニーズにもマッチしている。しかし、若者は、気楽で自由な『糖質ゼロの付き合い』を楽しむと同時に、従来の人間関係がもたらす楽しみや意義も軽視してはならない」との見方を示している。
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