江蘇省南京市浦口ハイテク区にある南京民生用ドローン操縦航空運営管理センターのホールに足を踏み入れると、南京民生用ドローン操縦航空試験エリアにおけるドローンの飛行状況がクラウドプラットフォームで一目でわかるようになっている。
浦口ハイテク区科創集団の霍敏副社長の説明によると、スクリーンの関係アイコンをクリックすると、ドローン搭載のカメラに接続し、飛行状況をリアルタイムでチェックできるようになるという。
ドローンによる物流輸送から、ドローンを利用した電力網の巡回検査、農業の植生保護などに至り、浦口区では多彩なドローン応用シーンが1つまた1つと現実のものになっている。
ドローンにより航海中の乗組員に物資を運んだり、船舶の汚染物質を受け入れたりする常態化したサービスが提供されている。今年5月末までに、江蘇省のドローンによる水上物流配送プラットフォーム「長江匯」の累計飛行回数は延べ2000回を超え、1000隻近い船舶に配送サービスを提供してきた。
江蘇長江匯科技有限公司の方保利会長兼社長は、「船舶の離岸・停泊サービスエリアで発生するディーゼルオイルの消費を減らせるだけでなく、省エネ・排出削減と長江の大規模な保護をサポートすることにもなる」と説明した。
2018年、浦口区は南京航空航天大学との間でドローンプロジェクト協力合意に調印し、ドローンを戦略的新興産業として重点的に育成することになった。19年には、浦口区は南京航空航天大学、南京聯通と共同で構築した5Gによってつながるドローンテスト飛行基地の江蘇南京ドローン拠点が、江蘇省初の民生用ドローン試験飛行運営基地に承認された。20年10月、南京民生用ドローン操縦航空試験エリアが承認され、全国第1弾・13カ所の民生用ドローン操縦航空試験エリアの1つになった。22年11月、南京民生用ドローン操縦航空運営管理センターが設立された。
江蘇省海事局南京海事局装備情報処の梁中宜四級調査研究員は、「長江の南京区間の水上巡回検査は、以前は小型の船舶による巡回検査でもコストが1万元(約21万7000円)ほどかかっていたが、今はドローンによる巡回検査で10数元(1元は約21.7円)あれば問題を解決する可能性がある。23年以降、南京試験エリアはドローンを使用して長江の98キロメートルの範囲で常態化した巡回飛行を行い、全プロセスで自律飛行を実現し、スマートターゲット識別、人員識別の機能を通じて、ターゲットを自動的に追跡し、船舶の詳細な状況をリアルタイムでチェックし、搭載されたスピーカーで航行のルールに違反して航行する船舶に警告を与えるなどしている」と説明した。
南京民生用ドローン操縦航空試験エリアの展示ホールには、各種類のドローンが陳列されている。スクリーンに映し出された、空を縦横に駆け巡り、低空飛行しながら探査を行う「鴻雁30」の様子が目を引いた。このドローンは速度100km/hの高速飛行をしながら、センチメートル単位のピンポイント垂直離着陸ができるほか、耐風性も非常に高いという。
南京航空航天大学ドローン研究院党委員会の副書記と副院長を務める南京長空科技有限公司の楊波常務副社長は、「これは当研究院が独自開発した、低空域における台風周辺の風速13.9-17.1m/s圏内でのリアルタイム大気パラメータの有効な測定が可能なドローンで、国産化率は100%に達している」と述べた。
浦口ハイテク区に位置する中国民用航空局(民航局)民生用ドローン操縦免許試験センターでは、ドローン飛行訓練が行われているところで、受講生たちがコーチを囲み、飛行の学習で出てきた疑問点をたずねていた。
ドローンの訓練チームを立ち上げた南京邁傑科情報技術有限公司は、ドローンの免許試験を申請する受講生のために、飛行技能訓練を提供し、免許試験を実施しており、これまでに免許を取得したドローン操縦者1万人ほどを送り出し、低空域飛行の発展における人材ニーズに対応してきた。
現在、浦口区にはドローン関連企業が50社以上集まり、研究開発・設計、完成機製造、運営サービス、産業応用など産業チェーンの各プロセスをカバーし、同区の低空域飛行活動による経済形態「低空経済」の産業規模がすでに5億元(約108億5000万円)に迫っている。
浦口区民生用ドローン操縦航空試験エリア業務推進専門チーム弁公室の室長を務める浦口ハイテク区党活動委員会の石山書記は、「これまでに浦口区は累計2億元近くを投入してインフラ建設と各種応用シーンの構築に当ててきた。今後は引き続き長江の水上巡回検査、物流配送など複数の応用シーンを開拓し、2025年までに、関連産業の付加価値額が15億元(約325億5000万円)を超えるようにし、商用運営を展開し、『低空経済』モデルエリアを構築したい」と述べた。
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