「日本青書」発表
低迷する中日関係に見える経済協力の可能性

「中日関係は低水準で推移しているが、プラスの要因が徐々に形成されている」。5月8日に発表された「日本青書」はこのような見方を示した。中国社会科学院日本研究所の楊伯江所長は、「中日関係の複雑さに対し、全面的で弁証的な認識を形成する必要がある」と指摘した。

省エネや介護などの分野で

協力のポテンシャルは大

「日本青書」新版発表会ならびに日本情勢テーマシンポジウムが8日、北京で行われ、「日本青書」の2022年版と2023年版が発表された。同青書は中華日本学会と中国社会科学院日本研究所が作成した。

今回発表された青書は過去2-3年間の日本全体の状況を振り返り、「中日関係はより多様な試練と打撃に直面しており、構造的な問題は依然として変わっていない。日本の対中政策はマイナス面が目立ち、中日関係は低水準で推移している」と指摘した。

一方で、同青書は中日双方が関係の改善・発展に向けて行っている努力にも注目し、特に「上層部の交流が関係の方向性をリードし、プラスの要因が芽生えつつある」ことに注目している。また、日本は経済安全保障関連の法律・政策において制限措置を絶えず打ち出しているが、中日経済貿易協力の発展情勢は依然として力強い点も指摘している。

同青書は、「岸田内閣が自民党内の保守強硬派の台湾地区問題に関する誤った認識を政府の政策に格上げするなら、中日関係改善の可能性は極めて低下し、『新時代の要求にふさわしい建設的で安定的な中日関係を構築する』との目標はますます遠のくことになるだろう」と注意を促している。

楊所長は、「日本情勢と中日関係には百年間なかった変局が反映されており、重要な影響を与えている。世界の局面の変化を前にして、日本は打撃や変動という受動的局面と、それに対する戦略的対応と主体的取り組みという双方向の軌道にあり、安全保障分野が軌道転換の突破口となっている」と述べた。

また楊所長は、「中日関係の二面性がかつてないほど大きくなっている。構造的な問題は解決されていないが、その一方で、経済貿易分野では、中日間の構造的な相互補完関係は今も存在している。特に省エネや介護などの分野で協力のポテンシャルは大きい」と述べた。

 

青年層では相互の感情・

認識にプラスの傾向

同青書は、「中日両国間で国民感情が低下を続ける中、青年層では相互の感情・認識にプラスの傾向が見られる。中日双方は国民感情を改善し、文化交流と相互信頼を増進する過程で、中日関係を安定的かつ長期的に発展させていくことができる」との指摘も行っている。