銅は非常に優れた性能を持つ金属であり、日用品(フライパンや鍋、やかんなど)や銅線、銅板として多くの工業製品に利用されている。また、熱伝導性や導電性の高さから、テレビやパソコンなどの家庭用電化製品にも多く使われている。銅の特徴として、加工性が高く、性質が柔らかいため、細径・薄肉化などの加工が容易であり、さまざまな場面で活躍している。さらに、銅は金属の中でも寿命が長く、耐食性が高いことも魅力である。さびに強いことから、建築材料としても多く用いられている。もともと銅は比較的安価な金属だが、パナマの大規模銅山の閉鎖など生産停止による供給不足と旺盛な需要が相まって、銅価格は1トンあたり10,000ドル(約157万円)の大台に乗った。
中国は世界最大の消費国であり、世界の供給のうち半分以上を消費している。中国の消費の中心は建築・建設セクターで、銅の最終使用量の約30%を占めている。中国の不動産セクターが新型コロナウイルスによる減速からどう回復するかは、銅需要の軌道を左右する重要な要素である。政府が2023年8月に発表した大規模な不動産セクターの救済策は、銅価格上昇の一因と考えられる。救済策は、開発者の資金調達を支援し、住宅購入者の負担を軽減するという中央政府の決意を示している。実際、中国の2023年の銅輸入量は、史上最多となる2754万トンを記録した。銅価格の上昇には、投機的な取引も影響している。供給面の減少理由としては、4月に英国と米国の両政府が、ウクライナ侵攻を続けるロシアに対する制裁の一環として、ロンドン金属取引所(LME)とシカゴ・マーカンタイル取引所(CME)でロシア産銅の新規受け入れを禁止したことが挙げられる。この措置により需給の引き締まりが予測され、投機筋の買いが過熱し、銅相場は上昇した。さらに、パナマの大規模銅山の閉鎖など、生産停止による供給不足も影響している。
2021年第一四半期に銅価格が20%急騰した後、3月から需要にマイナスのシグナルが現れ、5月末には銅価格が1トンあたり10,240ドルから9%下落した。その後、銅価格はより緩やかで持続可能な上昇トレンドに入った。今回の状況もこれに似ている。銅価格の見通しは依然として楽観的だが、最近の市場注文によると、短期的には調整に入る可能性が高い。高価格が需要を抑制しているため、ファンダメンタル価値と価格の乖離に注意が必要である。調査によれば、銅需要は予想以上に弱く、銅価格の急騰に伴い需要が減速している。4月から始まったこの需要減少は5月にさらに悪化し、注文の遅延と規模の縮小が見られる。中長期的には、世界的な供給難に加え、エネルギー転換や人工知能(AI)技術を支える堅調な需要に後押しされ、少なくとも今後3年間は銅価格の上昇が続くと見られている。
張 益偉 Choko Zhang
上智大学卒業し、金融工学専攻。特許金融分析師(CFA)と金融リスクマネージャー(FRM)の資格を保有しています。卒業後、方正証券の半導体セクターアナリストとして2年間の経験を積み、現在はFinlogixでストラテジストアナリストとして勤務しています。
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