翁道逵 ベリーベスト法律事務所(中国弁護士)
日本の仮想通貨に関する法制度ガイド その74

一般社団法人日本暗号資産取引業協会(以下「認定協会」という)は、移転制限の暗号資産に関する規則として、「移転制限が付された暗号資産の情報提供及び公表に関する規則」及びそのガイドラインを規定しております。今回は認定協会のこの規則・ガイドライン(以下「移転制限規則」という)を紹介します。

  • 移転制限の内容

「移転制限規則」第3条によると、府令第23条第1項第9号に規定する「移転についての制限その他の条件として認定資金決済事業者協会の規則に定めるもの」とは、次に掲げるいずれかの措置であって、かつ当該措置が解除されるまでに相当の期間を要する制限とします。

(1)当該暗号資産を次に掲げる要件の全てに該当する信託(法人税法(昭和 40 年法律第34号)第12条第1項の規定により同項に規定する受益者(同条第2項の規定により同条第1項に規定する受益者とみなされる者を含む。以下この号において「受益者等」という。)がその信託財産に属する資産及び負債を有するものとみなされる信託に限る。)の信託財産とする措置

イ 当該信託の受託者が信託会社(金融機関の信託業務の兼営等に関する法律 (昭和 18 年法律第 43 号) により同法第1条第1項に規定する信託業務を営む同項に規定する金融機関を含む。)のみであり、かつ、当該信託の受益者等が一者のみであること。

ロ 当該信託に係る信託契約において、当該信託の受託者がその信託財産に属する資産及び負債を受託者等(当該信託の受託者及び受益者等をいう。)以外の者に譲渡しない旨が定められていること。

ハ 当該信託に係る信託契約において、受益者等である者によって、当該信託の受益権の譲渡及び当該信託の受益者等の変更をすることができない旨が定められていること。

(2)当該暗号資産を他の者に移転することができないようにする技術的措置であって、当該暗号資産の保有者のみによって解除することができないもの

 

  • 通知内容を確認できる場合

「移転制限規則」第4条によると、府令第23条第1項第9号ロに規定する「暗号資産交換業者がその通知の内容を確認することができる場合」とは、会員に対してなされる通知が次に掲げるいずれかのものである場合に限ります。

(1)発行者等が、当該暗号資産に移転制限を付し、又は移転制限が付されることについて同意して、保有者の要請を受けて行う、その旨の通知

(2)保有者及び発行者等以外の者であって、当該暗号資産に関し保有者が自在に移転制限を解除することができないことを知る者が、保有者の要請を受けて行う、その旨の通知

(3)保有者が、発行者等から当該暗号資産に移転制限を付し又は移転制限が付されることについて同意した旨の証明を受けて行う、その旨の通知

(4)保有者が、保有者及び発行者等以外の者であって、当該暗号資産に関し保有者が自在に移転制限を解除することができないことを知る者から、その旨の証明を受けて行う、その旨の通知

    (次回へ続く)