駐日ロシア大使館に響く国際親善の歌声

9月15日、東京タワーを見上げると、夜空には明月がぽっかりと懸かっていた。すぐ近くの駐日ロシア大使館からは、国際親善パーティーを彩るクラシックの調べが響いてくる。今宵、中国、日本、ロシアの百名近い賓客たちが、素晴らしい芸術の集いを楽しんだ。

このパーティーは国際親善芸術家協会の主催、ロシア駐日大使館の協催で開催された。同協会理事長の宮本龍之介氏は、ロシアの名曲「波止場の夜」「モスクワの夜は更けて」「青いプラトーク」の3曲を、中国語、日本語、そしてロシア語を用いて情感たっぷりに歌い上げた。

宮本龍之介理事長は幼い頃からピアノと声楽を学んでおり、武術や美術、ダンスなどにも造詣が深く、ウィーン国立音楽大学のRAINER TROST教授、および東京二期会の会員でイタリアオペラの歌手である田月仙を師と仰ぐ、日本で著名なアートプロデューサーである。国際親善事業や若い芸術家の育成支援に尽力し、NPO法人国際親善芸術家協会を設立、自ら理事長を務めている。

 挨拶に立ったガルージン駐日ロシア連邦特命全権大使は、まず宮本龍之介氏の芸術面における造詣の深さを褒め称え、ロシアと在日華人の距離を縮めてくれたことに感謝を表明し、この晩餐会に関われたことを光栄に思うと述べた。

 続いては、国務大臣や内閣官房副長官を歴任した鈴木宗男参議院議員、外務大臣政務官や総務大臣政務官を務めたこともある国際政治経済学者の浜田和幸氏が挨拶に立ち、日ロ友好、中日友好を推し進めるため長期にわたって貢献してきた宮本龍之介理事長の努力を相次いで賞賛した。なお、浜田和幸氏はNPO国際親善芸術家協会の顧問の一人だとのことである。

 本誌編集長の蒋豊もこの晩餐会に招待された。ガルージン大使は先ごろ本誌がおこなった単独インタビューに対して謝意を示され、「クレムリン宮殿でも評判がよかった」と仰ってくれた。また、駐日ロシア大使館上席参事官はきわめて流暢な中国語で、自身が外交官として過ごした中国での十七年間をしみじみと振り返り、さらには本誌の購読を申し入れてくれた。

 宮本龍之介氏に話を伺うと、次のように答えてくれた。「私は芸術への情熱から、自ら発起人となってNPO国際親善芸術家協会を立ち上げました。中日ロ3か国の架け橋として、人々が抱く心の距離を縮めること、相互理解を促進すること、さらにはこのような集いを開いて各分野の有識者同士の交流を深めることなどが設立の目的です。これからも中日両国の若い芸術家を発掘あるいは養成し、より大きな、よりよい舞台を提供していきたいと考えています」。

 東京エステート株式会社の屠英傑社長にも話を伺うと、近年の日本社会における華僑の活躍は、自らを磨いて社会に溶け込み、両国の関係に貢献するよう尽力しているからだと分析し、その存在感は日増しに強まっているという。また、自身もNPO国際親善芸術家協会の理事の一人として、国際親善事業に真正面から取り組んで有益な貢献をしたいとのことである。

 日本舞踊家の姫宮瑚瑚氏は、「花魁道中」と「花魁舞扇」の2曲を披露した。その揺らめく舞姿は存分に和の美しさを表現しており、パーティーの雰囲気を大いに盛り上げた。

 曲が終わったあとも人々は去ろうとせず、素晴らしい芸術の余韻に浸りながら交流を深め、言葉を交わした。明月に照らされた東京タワーのもとでは、国際親善という楽譜に合わせて共同で歌詞が紡がれていたのである。